この度、Bully Pulpit Games(アメリカ合衆国ノース・カロライナ州)との間で、ジェイソン・モーニングスター『Grey Ranks』(2007年製作)の翻訳出版についてライセンス許諾契約を締結しました。邦題は未定ですが、2019年中の出版を目指し現在翻訳を進めています。
デザイナーであるジェイソン・モーニングスター氏は、当サークルの既訳作品である『フィアスコ』や『スケルトンズ』といったストーリー・ゲーム製作の名手であると同時に、歴史に題材をとったゲームを多く作成されています(また同時にLARPシステムの作者でもあります)。『Grey Ranks』はその歴史を題材としたRPGの1作目にあたります(全体としては同社3作目のゲームです)。

この『Grey Ranks』も先の二作品同様、準備不要で専任のGM不要のゲームですが、あわせて悲劇となりがちなゲームです。『フィアスコ』は「君と大惨事を作るRPG」ということで、大体においてバッド・エンドになりがちでしたが、それは涙を誘うというよりもスラップステップな物語であった方が多かったのではないでしょうか。それとは異なり、ゲームそのものは楽しく遊べると信じていますが、このゲームの根底にあるのは敗北であり、その敗北の中の命の輝きであり、語られる物語は胸悼むものが多くなることでしょう。発売されましたら、購入の前にそのことだけは心に留め置かれた方がいいかと思います。

では、このゲームで題材とされている歴史とは何なのか。それは「ワルシャワ蜂起」です。1944年ナチス・ドイツによる占領下にあったポーランドで、8月1日~10月2日にかけて2か月に渡った武装蜂起で、最終的にはポーランド・パルチザンの敗北として終わり、その報復としてワルシャワ市は破壊しつくされ更地と化しました。
そう、このゲームの背景となるワルシャワ蜂起は、もうすでに敗北が約束されています。そういった状況下で、プレイヤーたちは抵抗運動に加わった、Szare Szeregi【シャレ・シェレギ】/灰色の軍隊と呼ばれる15~17歳の子供兵の1人として、圧倒的なストレス下での情熱や恋愛を体験し、否応のなく肉体的にも精神的にも成長をすることになります。

今後、定期的ではありませんが、Twitterを通じて、この時代にいたるまでの背景や、実在したシャレ・シェレギたちについて呟いていければと思っています。

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