説明

我らが住むは、人の世界。彼らが住むは、別の世界。
我らは力を求めて生きる。我らは怪奇を滅して生きる。
故に彼らは隠れて生きる。見つからぬ為。恐れるが為。

彼らは我らの傍にいる。一線越えれば触れれる距離に。
しかし我らは交わらず。我らの為に。彼らの為に。
互いに触れず、相見えない。間の線を、ただ感じるのみ。

交わることは罪である。偶然であれ、必然であれ。
それは世界を変える事。決して、望む事為らず。
間の線が見えたとしても、触れてはならぬ。揺れてはならぬ。

彼らに惑わされたとしても、
    この線、努々、越えるべからず。


このプレイセットにて作られるのは、「人」と「人ならざるもの」の話である。我らはこの話を紡ぐ前に、今いる世界がどのようなものであるか、共有しておいた方がいいだろう。

暮らしている時代はどの時代でもいい。薄い板で言葉を送りあう時代でも、釜戸に火をつけて米を炊く時代でも構わない。この世界で大切なのは、「人ならざるものはこの世界の当たり前ではない」ということだ。

我らが相見えるは、妖、呪物、霊、怪奇、奇病、奇跡。……それ以外かもしれない。どれも人ならざるものであり、この世界にて隠されしものである。人ならざるもの、人ならざる力。それを目にした我らは、果たしてどのように考えるか。

人により、様々な考えがあるだろう。だが、忘れるな。それが善であれ、悪であれ、我らがそのものたちを知ること自体が罪である。この世界の境界を崩すという、大きな罪である。

我らはこれより罪を犯すのだ。それが偶然であれ、必然であれ。犯したという事実に変わりはない。

なればせめて、罰を受けるまでの間。その生涯に、悔いの無きよう。いずれ我らは話となり、この世界から切り離されるのだから。