※ これはTRPG「青灰のスカウト」をプレイをキャラクター主観で綴ったものです。一緒にプレイし、この文章の掲載を快諾していただいたふぇる氏、葦ノ葉氏、嵯峨氏には感謝しかありません。
ありがとうございました。

『1944年当時、16歳のスタシ・エデルマン少年の手記』

彼はヴォラ地区の大衆食堂「Bar Mleczny」の長男として生まれ、灰偵団の活動に身を投じた。

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7月2日 日曜日

灰偵団に入ってからの仲間3人とラジオ放送局いかずちを聞いた。
リディア・サヴィツカは年上の女の子。強引だけど愛国心は尊敬できる。姉ちゃんがいたらこんな感じなのかも。
マレク・ヴォルブロッツは眼鏡のおどおどした感じの奴。上等な衣服に身を包んで、ちょっといけ好かない。
ユリアン・コヴァルスキは線の細いなよっとした奴かと思えば、ドイツ人を突然罵しったりする。音楽家の息子だとか。
ラジオを聞いた俺たちは興奮して色々話しあった結果、リディアが提案したドイツ人におもねるマリアという女から夜間外出許可証を奪うのを最初の任務とした。

自由ポーランド万歳!
 

7月3日 月曜日

家の食堂に来たマリアを尾行しようとしたら、弟のハンスに捕まって危うく尾行に失敗するところだった。兄ちゃんはポーランドのために戦うから、妹のロッテと父ちゃん母ちゃんを頼むぞ。
突き止めたマリアの家にマレクが忍び込んだら、ドイツ兵が死んでいたそうだ。そいつから夜間外出許可証を奪ってきたマレクは、臆病だけど、意外とやる奴だ。
でもマリアはドイツと通じていたんじゃなかったのかな。マレクもマリアが食堂で偽造新聞を読んで微笑んでいたと言っていたし。よくわからない。

7月4日 火曜日

ユリアンの知り合いに頼んで国民軍の兵隊さんに会う算段を付けてもらった。リディアは夜間外出許可証をポーランドのために役立ててもらうって言ってたけど、俺は自分達で使った方がいいんじゃないかなって思った。言わなかったけど。
会ったのはヤネク・クラウゼっていう人で、若くて大人って感じな人だった。会う前に俺たちの服を整えたりしてたリディアが、クラウゼさんと会ったとたん夢中で喋っていたけど、リーダーなんだからキチっとしてほしい。
でも、初めての任務をやり遂げたんだ。

自由ポーランド万歳!

7月27日木曜日

あれから何回か任務をこなした3人で、またラジオ放送を聞いている。これを書くのも久しぶり。蜂起はまだだけど、今は俺たちにやれることをやるだけだ。
今回は、列車で運び込まれたっていう噂のドイツの新兵器を偵察に行こうってことになった。リディアは新聞記者からあっさり搬入された地区の情報を入手してきて、凄い。

7月28日 金曜日

潜入するのに武器が必要じゃないか?という話になって、食堂に来る工員がひそひそ話で銃を作ってるって話をしていたことを思い出した。
マレクは隠されている倉庫の確定、俺は武器の調達という担当。ポーランドのためなんだから、銃を譲ってもらうぐらい簡単だろう。
(ぐちゃぐちゃの線と涙の跡)

(日付未記入)

あのクソ野郎にボコボコにされた俺を父ちゃんが見とがめて説教を食らった。
口論でうっかり活動についてバラしちまったけど、最後はわかってもらってよかった。
ドイツ人たちを追い出したら、父ちゃんの跡を継いで、食堂をでっかくしてやるよって約束した。

7月30日 日曜日

マレクが秘密兵器の隠されている倉庫を見つけてきた。リディアは負傷したクラウゼさんの看病に行っていたらしい。
これから任務なんだから浮かれてないでしっかりして欲しい。
相談した結果、ユリアンが見張りで俺たちが潜入して秘密兵器の写真を撮ってくることになった。
武者震いがするぜ。

7月31日 月曜日

ようやく落ち着いた。昨日、俺たちが潜入している間にユリアンに何かがあって、返り血と怪我でぼーっとなっていた。
任務は成功したけど、リディアの真っ青になった顔を覚えている。
リディアが応急手当をしたけど、ズボンを脱ぐ脱がないで揉めていたのが、何故か恐ろしくて俺は関わらないようにしていた。
ユリアンがつぶやいた「僕はもう神を信じない」という言葉に胸がざわつく。

8月4日 金曜日

あれからいろんな事があった。3日前についに国民軍が決起し、この街をどんどん取り戻していってる。
俺たちは、後方を荒らしまわっている強盗に対処することになったけど、あれ以来、リディアがユリアンにくっついて色々と世話をしてて、なんとなく(判読不能)

強盗達が潜んでいるアジトを交代で見張っていたら、交代する直前にユリアンの友達のヤノシュが撃たれたらしい。
交代際にそのことと、強盗達はヴィラ地区の広場にあるコシューシコ像を爆破する計画だって聞いて、俺はリディアの制止も聞かずに広場に走ってしまった。
あの像は近所のみんなと一緒に立てたのに。結局、爆破は止められなかったけど、怪我をして像に縛られていた国民軍の人だけは助けられてよかった。

そういえば、頭に血が上って像と縛られた人を同時になんとかしようとした俺を、ついてきてくれたマレクが殴って止めてくれた。
ありがとうって言ったか覚えていない。今度、ちゃんと言おう。

広場の爆発で俺の家も破損して、店はしばらく休業。
父ちゃんは早く直して営業再開しなきゃなって言ってたけど、俺は任務が優先かな。

注文以外の文字をこんなに書いたのは初めてだ。いろんな事が立て続けにあって疲れた。

8月5日 土曜日

例の強盗についてはユリアンが情報を知っている人にゲットー地区へ会いに行くっていうから、護衛も兼ねてついていくことに。
最近のリディアとユリアンの事、マレクに話してみたけどよくわからないみたいだ。
結局、会いに行った人は死んでしまったけど、強盗はドイツ軍に協力しているロシアの連中だっていうことが分かった。
その情報を知らせに国民軍の拠点に行ったのに、門前払いを食らいそうになったのは頭にきた。
でも、最初は乗り気じゃなかった国民軍の人を、マレクが食って掛かるような勢いで説得したら対処してくれることになった。
こういうときのあいつは豪胆になる。最初の印象なんてあてにならないんだな。

それで作戦会議をしようって時に、ドンと音がして煙が上がって、真っ青になったユリアンが震える声で音楽学校って言ったのが聞こえた。
それを聞いて心配そうな顔をするリディアは何を考えていたんだろう。

9月2日 土曜日

ラジオ放送局いかずち最後の放送を皆で聞く。決起前の事が遠い昔みたいだ。

クラウゼさんは、ドイツの将軍を暗殺するしか道がないと言ってて、この状況をどうにもできない自分にいら立つ。
とりあえず残った灰偵団で潜入して将軍の行動の情報を得ることになった。

灰偵団の仲間が半分ほど死んだ。
リディアがショックを受けているのがわかる。
俺も辛い。

9月3日 日曜日

昨日の襲撃で、マレクの友達がドイツに捕まったらしいけど、マレクは気丈にふるまっている。
臆病者だと思ってたこと、あとで謝らないと。
俺もここが踏ん張りどころだと思う。それに祖国のために死ねるなら、本望じゃないか。

クラウゼさんは次の作戦のための時間稼ぎとして灰偵団に給水塔の爆破を命じたけど、反対するリディアと口論になった。
俺達だけじゃなくユリアンにまで反論されて泣き崩れたリディアを見て、昔、リディアを俺たちのリーダーだって思ってた自分を殴りたくなる。
その後、ユリアンに慰められながら隅に行くリディアを見て、クラウゼさんは

久々に家族で食事。やけに豪華だから何かと思ったら、父ちゃんが明日家族でワルシャワを脱出するから俺にも来いって言いやがった。
また喧嘩になって殴り合いしたけど、部屋に閉じ込められた。くそ、思いっきり殴りやがって。こっちも殴ってやったけどな。
これを書き終わったら、ここから脱出して

ありがとう、ハンス。
あの時の約束通り、兄ちゃんはポーランドのために戦うから、お前も父ちゃん母ちゃん、そして小さいロッテを守ってくれ。

9月4日 月曜日

何もかも上手くいかない。
昨日の作戦で俺たちは何とか逃げ延びたけど、残りの灰偵団はほぼ壊滅状態だ。
リディアはますます落ち込んで、ユリアンと一緒にいる。
そのユリアンはどこからかまた情報を得てきて、将軍のここ数日の行動計画を入手してきた。
もっと早くそれが出来ていればと思うけど、何かがあるのはユリアンを見てわかったから黙っていた。
その何かが俺たちにとって良くないものではありませんように。

ユリアンがバイオリンを披露したいと言ってきたので、皆で聞く。
外で爆発する音が響く中、途中まで弾いていたユリアンが音が見つからないって言いだして、リディアが慰めていた。
ヴォラ地区の方からも爆発音が聞こえてきたから、店が心配になったけど、みんなはもうワルシャワから出てるはずだから安心だ。

9月5日 火曜日

作戦のため、決行日まで見つからないようバラバラに待機することになった。
リディアはユリアンと一緒なのかと思ったらクラウゼさんと待機するって言ってて、以前口論になった時にマレクが言った誰の手でも取るんだな、って台詞を思い出す。
考えが纏まらない。明後日には最後の攻撃なんだから体を休めないと。

これが終わって生きていたら、店がどうなっているか見に行こう。

(日付未記入)

クラウゼさんがドイツ兵に殺された。

リディアと喧嘩別れした直後と聞いて昨日、リディアについて考えた事を後悔する。
ごめん、リディア。

最後の突撃は、どうなるんだろう。

(日付未記入)

神様は残酷だ。

勇敢なマレクが天国に行けますように。
リディアとユリアンがどこに行ったかわからないけど、生きていて欲しい。

父ちゃん、母ちゃん、ハンス、ロッテ

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手記はここで終わっている。

この手記はヴォラ地区の広場から回収されたものである。
スタシ少年を除くエデルマン一家は9月4日の攻勢時、砲弾で破壊された家にいたことがわかっており、この手記の記述と矛盾がある。
戦後、食堂跡で炊き出しをしていたスタシ少年の姿を見たという証言があるが、その後の消息は不明。
彼の生家である食堂跡は現在、ガソリンスタンドになっている。