説明 湧きあがりつつある怒り

終わることのない大都会の夜景は、貴方が二度と見ることのできない、しかし忘れようにも忘れられない太陽の光にも似た輝きを放ち続ける。人間たちのさんざめきは、かつてないほど夜に満ちている。やつらのちっぽけな生き様は、貴方には捕食者の目を通してしか映らない。熱い血潮の波涛を浴びるとき、ほんの一瞬、貴方は生き返り、その熱さの永続をこいねがう。そして力無くした死骸が貴方の腕から滑り落ちるのだ。

豪奢な饗宴から穢れきった下水道に至るまで、誰もがこれぞ我が縄張りと称してやまない。皆が狩りをするに足る場所などないし、正体露見の危険はそこらじゅうに潜んでいる。すばやく、頭の回る者だけが滅びをまぬがれるというが、永遠を生きるにはどれほどの力が必要だというのだろうか。陰謀、取引、そして危険な賭け。その全てが貴方に力を与え、同時に敵をも作るのだ。

貴方が求める愛、暖かさ、人間らしさ、それらはうたかたのように消え失せる。たとえ同族の誰かに略奪されずとも、時間と老いが貴方から尊いものを必ず奪い去る。遅かれ早かれ、同族たちがおぼれる嗜虐と悦楽だけが、貴方に残されるものなのだ。


注記

『フィアスコ・バイ・ナイト』は、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』の世界を舞台としており、その「暗黒の世界」に親しんだプレイヤーを想定している。貴方は血族であり、おそらくはカマリリャの一員であるが、叛徒や独立勢力であってもかまわない。

とはいえこれは『フィアスコ』だ。史劇を演じる『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』のキャラクターではあまりやらないような、すばやく、いいかげんかつ危険な遊び方をして全然かまわない。『フィアスコ』のフォーマットを使えば、新規も古参も危険を冒し、すばやく考え、そしてわかりやすく場面を演じることができるはずだ。このプレイセットを使って、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』での経験に刺激をもたらし、貴方の史劇を豊かにするためのロールプレイ技術を試してみるといいだろう。また、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』を手軽に楽しめる内容にもなっている。