説明 ただひとつ違っていたのは――奥さまは魔女(人間を生贄にするタイプの)だったのです!

まず、定義しよう――超常現象は存在する。少なくとも、人間に危害を加えるタイプの怪物は暗躍している。テキサス革命の原因はデヴィルとデーモンの代理戦争で、アイソトニック飲料の売上は2割方人狼氏族の懐に入り、フィリピンとポーランドは超能力兵団の運用に失敗した。

もちろん君たちの隣人――文字通り人間の姿で近所に住んでいるとは限らない――はそんな大それた陰謀を実行できるほどの知恵もコネも興味もない。日夜吸血鬼の殺し屋共に追われ、打ちひしがれてさえいるかもしれない。だが、そいつはまず間違いなく君より強い……真正面からピストルを構える君を3秒以内に殺せる程度には。

運用に際する諸注意

これは日常に忍び寄ってくる怪物とそれに翻弄される人々を演出するためのサプリメントであり、これを遊ぶには他の【プレイセット】と組み合わせる必要がある。

モンスターという強力な存在を主題にする以上、これを使うことによって元々の【プレイセット】で決めたキャラクター間の【つながり】がセッション中うやむやになる可能性がある。だが、その時は「それならそれでもいい」と割り切って、プレイヤー間の【人間関係】を怪物の恐怖を増幅させるスパイスぐらいに考えればよい。

このサプリメントにおけるプレイヤーの作るキャラクターは程度の差はあれ武力に乏しい人間を、【プレイセット】は不可思議な状況、不意の暴力に対処しづらい環境を想定している。『メイン・ストリート通り』、『郊外物語』、『1692年、セイラム』は問題なくこれを導入できる。『氷上の世界』、『バック・トゥ・ザ・オールド・ハウス』は閉鎖環境もあいまって怪異の恐怖を演出するのにぴったりだろう。

もちろん向かない【プレイセット】もある。『ピナクル・シティの我らがヒーロー』は超能力者や吸血鬼をただの三下ヴィランに落とし込み、『ドラゴン殺しの英雄譚』の冒険者連中は(倒せるかは別問題として)モンスターに慣れすぎており、その強さにしか恐怖を感じないだろう。