この度、Thorney Games(アメリカ合衆国カルフォルニア州)との間で、Kathryn Hymes氏とHakan Seyalıoğlu氏の共著である『Dialect: A Game About Language and How It Dies』(2018年製作)の翻訳出版についてライセンス許諾契約を締結しました。2019年中に邦題を『ダイアレクト』として出版予定です。

Thorney Gamesは言語を主軸に置いたゲームを作る会社で、2015年にニカラグア手話をテーマにした「手話を作る」ライブアクション・ゲームである『Sign』を発表し、また現在はテッド・チャン『あなたの人生の物語』(早川書房)に影響を受けた、「ファースト・コンタクトを迎えた異星人の言語を理解する」RPGである『Xenolanguage』を開発中です。

この『ダイアレクト』も言語を主軸とした、準備不要・専任GM不在のRPGです。ルールブックに用意されている背景設定は16種類。その何れもがプレイヤーたちに世間から隔絶された共同体をもたらします。例えば「The Outpost」という背景では火星調査隊、「The Compound」では世間一般とは隔絶した居住地、「Sing the Earth Electric」では人類が立ち去った後のロボット社会、「Thieve's Cant」では都市に潜む犯罪結社、という風にです。こうして用意された孤立集団の中で、言葉を作り言葉を変化させ、そして最後には共同体ごと滅びを迎えるのがこのゲームです。

そう『ダイアレクト』は言語についての、そしてそれがどう滅ぶのかについてのゲームです。

発展的な解消にしろ、破滅を迎えるにしろ最後には必ず共同体は終わりを迎え、その共同体で使われていた言葉は使われなくなります。世界でも少なくない数の言語が消滅の危機に瀕しています。作者によれば、話者が10人に満たない言語は、全言語のおよそ10%に上るそうです。そして1つにまとまることによって、文化など他者と分け隔てるものを失う危機もあります。

『ダイアレクト』ではこれを体験します。

DIALECT_Cover_white.png