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歳月は飛び去る枯れ葉のごとく。すべては暗闇のうちにあり、すべては沈黙に包まれている。君は飾られた石棺の前に立ち、考えることも呼吸することもなく、寝ずの番をする。そうするよう課せられているのだ。名前を思い出すことはあたわず、それでも見張りを続ける。骨から肉が剥がれ落ちてしまうが、それでも見張りを続ける。

そうしてある日、灯りと動くものが現れ、君は逆棘の付いた斧の重みを手に感じて、盾を持ち上げる。闘いに餓え、墓荒らしの血気盛んな小童どもと自らの技量を比べたくてたまらない。もはや君が命を取り戻すことなど起こりえないのだが、この瞬間、すなわち墓所への冒涜と侵入者の破滅との間に起こる混乱に身を置くとき、君は間違いなく生きている。そして、自らがかつてどのようなものであったかを思い出し、在りし日を追想するのだ。

プレイヤー・キャラクターは全員、ある墓所を守るスケルトンになります。

ゲーム開始時に行うことは、石棺の置かれた墓所の間取りを描き、そして自分が担当するスケルトンを選んで、そのスケルトンの装備品をキャラクター・シートに描くだけです。

他に準備はいりません。ルールブックには3種のシナリオが用意されていますが、特に事前に深く読み込んでおく必要もありません。ではそんな先の見えない状態で、どう遊ぶのでしょうか。

このゲームのシナリオでは、時間の経過ごとの墓所への侵入者が用意されていて、そしてその侵入者を撃退する度にスケルトンたちは生前の記憶を思い出していきます。思い出す記憶は9種いるスケルトンの種類によって様々ですが、もしかしたら隣でともに墓所を守っていたスケルトンは、生前は宿敵だったのかも知れません。もしかしたら恋人だったのかも知れません。

ただスケルトンは侵入者が現れた時にのみ意識を持ちます。ただただ戦いのさなかにだけ、過去を思い出します。そして侵入者を打ち倒し、次の侵入者が現れるまで、あるいは1年、あるいは1年、またあるいは数千年のときがたちます。思い出すことの多くは、もしかしたら残してきた日々の、取り返しのつかないことなのかも知れません。

この記憶を取り戻す、そして取り戻した記憶が他のキャラクターに密接に絡み合う、そここそがこのゲームの肝であり、通常の判定などはほとんど触れられていないルールですが、その思い出すべきことについては色々と明記されていて、そこれが上手くドラマを生み出すように設計されています。

いずれにせよ、こうしてプレイを続けていくとキャラクタの過去が生まれていき、ゲームが終わる頃にはPC間にそれなりの関係が生まれていきます。そうゲームを通じて過去が鮮明に掘り込まれ(スケルトンではありますが)キャラクターが築きあげられる。それがこの『スケルトンズ』のポイントです。

注意

上記の通り、ゲーム中に守るべき墓所の絵を書く必要がありますし、また自分のスケルトンの絵に色々と書き足す必要もあることでしょう。ですのでオンライン・セッションで遊ぶ際には、地図やキャラクター・シートに絵を描きこんで、それをみんなで共有する機能が必要になります。

レビュー&プレイレポート